素晴らしい日本料理の 「きん魚」【岐阜県瑞浪市】

和食の店 「きん魚」。
予約満席で二ヶ月も待たされてやっと行くことが出来た。
瑞浪市陶町(スエマチ)にある店で、一言で言えば田舎、二言でいえば山奥。
そんな田舎に素晴らしい店が存在していた。
陶器会社の社長の自宅だったのを改装した店で、屋敷といった風情。
右が本宅で左が離れで、どちらも客席になってる。
日本建築のどっしりとした建物で、数百坪はあるかという敷地に平屋の屋敷が建ってる。
玄関へ続く小径。
いかにも料亭に向かう雰囲気がして、期待が高まるアプローチ。
玄関が見えて来た。
今井美樹や羽野晶紀と来れたらね、、、夢のまた夢、、、
通された部屋は離れの部屋。

八畳の畳の間に、低い机と椅子がセットされてます。
実に座り心地が良い。
部屋から眺める中庭。
贅沢な空間で、我々だけのために一部屋を用意してくれてるのです。
接客してくれた中居さんによると、ここの所有者と店主は身内ではないとのこと。
空き家だったこの屋敷を、店主が所有者のもとに何度も通い、やっと借りられて始めた店。
所有者の社長さんは本当の金持ちで(成金では無いの意)、この場所からちょっと離れた所に新しい屋敷を建てたため、それでここが空いたということ。
新しい屋敷も素晴らしく立派な建物って言ってましたから、一度見てみたいもの。
それはさて置き、料理です。
先ずは「胡麻豆腐 茄子のソースかけ」。
ステキな器に盛られた綺麗な料理。
ところで茄子のソースって?
あれこれ考えずに一口食べれば、まさしく醤油で焼いた茄子の味。
ジュレにして掛けてあるのです。
それに胡麻豆腐が絡み合って、実に美味しい。
素人がどれだけ頑張っても出せない味と創作力、、、素晴らしい。
合わせるのはもちろん日本酒。
小左衛門の純米吟醸。
いつも飲んでる小左衛門だけど、地元瑞浪のお酒ということに敬意を表してオーダー。
美味しいに決まってます。
この一品と小左衛門だけで、既に十分に堪能。
素晴らしい料理、器、設え、それに贅沢な空間で、私には勿体無いような味と世界。
刺し身。
鮪、鯛、北海蛸の三種盛り。
きれいな盛り付けで、目から美味しさが飛び込んでくる力がある。
私がバイキング(ビュッフェ)が嫌いな理由に、盛り付けが無いことがある。
家でも作った料理を鍋ごと出すことはせず、ちゃんと器に盛りますよね。
バイキングだと作ったまま並べる、刺し身は切っただけ、冷凍物は解凍しただけ。

料理は作って終わりではなく、器に盛り付けて完成だと思う。
料理人(家でも)は美味しく食べてもらいたい、美味しく見てもらいたいと思うもの。
故に料理人なら料理に合わせる器も吟味するし、盛り付けにもとても気を使う。
これは日本に限った話ではなく、中国でも欧米でも、全世界共通のこと。
バイキングは作ってオシマイだから、あとは勝手に。
客の側も元を取らなきゃ損とばかりに、腹一杯食べる。
これは軍隊式の補給であって食事ではない。

食べ終わると「元がとれた、」とか言うだけで、損か得かの世界。
若い連中なら許せるけど、ある程度の歳を重ねたら損とか得とかではなく、食事にも品と余裕を持って “料理” を楽しんで欲しいものかと。
分別も弁えてる筈の中高年がバイキングの皿に群がってる姿は、ちょっとネ、、、
すいません、余計なことを書きました。
汁物。
普通なら茶碗蒸しというところですが、汁物にして出されてきました。
中居さんから説明を受けたのですが、忘れれてしまって、、、
手前の麦?を混ぜで食べたのですが、柚子が効いた出汁が旨い、、、深い味で本当に旨い。
それに松茸も入っていて、今年のお初。
お酒が進んでます。
中居さんに「このまま夕方まで過ごしたい、」と冗談で言ったら、どうぞ、後はつかえていませんから、、って本気にされてしまって。
冗談ではあっても、のんびりしていきたい気分。
椀物。
蟹あんかけですが、珍しいことに生ハムやイベリコ豚、ズッキーニなどの洋物で合わせてます。
特に完熟のズッキーニは普通のズッキーニとは食感がまるで違い、帆立のような食感。
こんなの初めてですが、素晴らしく旨い。
二杯目のお酒。
こちらも地元の「若戎」。
小左衛門に比べるとボディーのしっかりとした、ふくよかな酒。
チェイサー。
グラスがお洒落。
焼き物。
ムツ?の杉板焼きマイタケ乗せ。
杉とマイタケの香りに包まれて旨い。
どうやったらこんなに上手に焼けるのでしょう。
飯。
ちりめん山椒かけ。
ご飯と味噌汁のおかわりは自由とのこと。
織部の椀が素敵で、欲しい。
香の物。
小茄子が実に旨い。
塩辛くもなく醤油辛いでもなく、それでもって味がある。
この店の料理に、手抜きはありません。
コーヒーとデザート。
コーヒーは紅茶に変更も可。
ラスク風のものはお麩で、ハチミツを塗って焼いたもの。
甘味はスイカと梨に大根!を合わせたもので、不思議な取り合わせだけど、旨いからビックリ。
伝統的な料理ばかりではなく、極めてチャレンジングな和の世界を堪能させてもらいました。
素晴らしい・・・
◆ 店データ (情報は確認して下さい)
店名 : 日本料理 「きん魚」
住所 : 岐阜県瑞浪市陶町橋爪 140-5
電話 : 0572-65-2540
営業 : 11:30~14:00 / 17:30~22:00 / 定休日 不明
あまりにも素敵な店だったので、次を予約ししようと空いてる日を聞いたら、なんと土日は年内は全て埋まってる!
ならば平日はどうかと聞けば、一番早い日で11月初旬とのこと。
今って8月でしょ、、、
大きな屋敷だけど部屋数は6部屋しかなく、しかも一組に一部屋を充てがうので、無理も無し。
これが利益追求型の経営なら、大部屋形式にして20畳に4~6テーブルぐらい入れて効率を上げ、利益を追求するのでしょうが、そうしないのがいいところ。
人数をさばいて儲けるよりも、コアなお客さんを大事にしていく、ということなのでしょう。
そうそうお値段ですが、今日の料理(お任せランチ)で、2,500円、、、破格の価格ですよね。
板場に挨拶に行ったら、店主が出てきてくれましたが、お若い!
浜松の chihi さんが好きそうな、ikemen。
まだ38歳とのこと。
ちょっと話をさせてもらいましたが、人間的にしっかりしてる。
将来この業界でスターになるのでは、と予感させるものがあります。
いい男です。
またお邪魔しますので、宜しく。
玄関から駐車場まで送ってくれた上に、車が見えなくまで頭を下げられたのには、恐縮至極。
家に帰り着いてもまだ「きん魚」の余韻に浸ってる始末。
それほどインパクトのある店でした。
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