店は思いっきり昭和だけど美味しい鮨屋の「鳥安」【岐阜県土岐市】
- 2020.09.28
- 岐阜県

この秋、初めてのツーリングに出かけてきた。
出かけたと言っても岐阜県の土岐市へというショートツーリングだが、本当はR.153で長野県の飯田方面へ行くつもりだった。
それが朝からやることがあって出かけが遅くなってしまい、そのため近場のツーリングに変更したのだが、ランチ・ツーリングなので大した影響はない。
ただ飯田にある洋食屋へ行けなかったのは心残り。
この洋食屋はぜひ行きたい店なので、機会を見つけて今季中には行くつもりだ。
豊田市から土岐市へ行くなら東海環状道を使うのが普通で、しかもアッという間に着いてしまう。
しかしそれでは面白味がない。
ツーリングというのは目的地に着くことが目的ではなく、その過程というか道中を走ることも目的。
特に中速コーナーが続くようなワインディングロードを、ヒラリヒラリとクリアしていくのはとても楽しいもので、目的地に行くことよりツーリング自体が目的とさえ言える。
この辺の感覚は、ライダーの方ならご理解いただけるのでは。
バイクやオープンカーなどは自然の中を走ることが無上の喜びで、風を感じながら走ることだけで嬉しいのだ。
高速道路は時間の節約にはなるが、走っていても全然楽しくないからね。
そのため少々時間がかかったとしても東海環状には乗らず、下道を行く。
コースは色々考えられるが、今回はR.419で豊田市の藤岡町飯野へ抜け、そこからK.33 ⇒ K.352 ⇒R.363 で土岐市の柿野(柿野温泉)へ。
柿野からは大回りになるが、紅葉で有名な曽木公園のある曽木から下石(おろし)へ出て、ゴチャゴチャとした街を抜けて土岐駅に到着。
土岐駅に来たのは、駅前の駐車場に車を停めるため。
所要1時間ほどなのでツーリングとしては物足りないが、ランチ目的の奥殿は喜んでいるから、まあいいか。
土岐市でのランチは寿司。
ネットで見つけた店なのだが、「入るには勇気がいる」と恐ろしいことが書いてある。
ただしそれは店が古いからで、出される寿司は抜群に旨いとある。
行ってみてヤバいと思えば入らなければいいだけのことだから、取り敢えず店の前まで行ってみた。
ここがその店。
古いと言えば古い店だが、ビビるほどのこともない。
昭和の寿司屋と言えばどこもこんな感じで、懐かしいとさえ思える。
奥殿にどうする?と聞けば、行ってみようかとのことだったので、イザ入店。
自動ドアなのだが、閉まる方が重くて閉まらない。
そんな引き戸を大将が閉めながら、「いらっしゃいませ」。
店は大将一人で、客はいない。
小上がりに座って新聞を読んでいたというから、長閑なもの。
ここがその小上がりで、新聞もそのまま。
いま準備しますからと、空っぽのネタケースに冷蔵庫からネタを入れながら「悪いね~、お客さんがいないので」と。
小太りのいかにも寿司屋の大将といった感じの人で、気さくな人柄で雰囲気が和む。
手際よくササッと準備してくれた。
お茶は寿司屋の見本のような粉茶で、これまた寿司屋の定番の大振りな湯呑にタップリと注いでくれる。
このお茶が旨い。
お茶が不味い鮨屋は寿司も不味いものだが、ここのお茶はとても美味しい。
寿司に期待が持てる。
準備が整って、大将の「さ、何にしましょ」の掛け声。
メニューというより品書きはこちら。
鮨屋のカウンターに座ればお酒が飲みたいが、車なのでそれは無し。
ここは上寿司(二千円)を握ってもらうことにした。
下駄に盛られたガリ。
これがまた美味い。
買ってきたガリではなく店で漬けているガリのようで、ガリを店で漬けるのは鮨屋の矜持。
甘酸っぱい美味しいガリで、これだけでも飲めそう。
先ずはマグロとイカ。
このマグロが旨い!
濃厚な味で、水っぽさは微塵もない。
分厚く切られたマグロにシャリは小さ目で、一口でいける上品さがいい。
これほどに旨いマグロは久しぶりだ。
隣りのイカも熟成された旨味があって、ネットリとした食感。
何というイカか聞き漏らしたが、美味しければ種類なんてどうでもいい。
海老。
大ぶりで肉厚な海老で、しっとりとした味が味わえる。
食べれば甘いとさえ思えるほどで、握りの海老のお手本のように美味。
奥殿もここの寿司が美味しいとのこと。
確かにその通りで、大将に旨いですと言えば、車だからお酒が出せないのが残念とのこと。
美味しいもの、特に寿司にはお酒と相性がよく、お酒が寿司の味をより引き立てますからとのこと。
美味しいものにお酒無しで合わせるのは勿体ないですから、とも言っていたが、正にその通りで、飲めないのが悔しい。
鯵。
ちゃんと仕事のされたアジで、添えられた生姜がいい仕事をしている。
それとシャリが旨い。
いま家で食べているご飯は岐阜・美濃産のハツシモで、大粒で美味しいお米。
このシャリももしかしてハツシモなのかと聞けばその通りとのこと。
家のご飯もハツシモで美味しくて気に入っていると言えば、大将も嬉しそう。
すし飯にはコシヒカリのように粘りがあるのは不向きで、甘みもサラッとしていてなおかつ膨よかな美味しさがあるのが良いらしく、ハツシモはこの条件にピッタリのお米だそうだ。
この店では、昔から大垣産のハツシモを使っているという。
シャリの味を味わってくださいと出されたのは、イクラとウニの軍艦二種。
どちらも美味しくて、ウニの好きな奥殿も満足。
我々は豊田から来たということから話が弾み、この店が「鳥安」という寿司屋らしからぬ屋号の謂われも話してくれる。
土岐も窯業が盛んな頃は街も賑わい、商談で訪れる問屋筋の人達もこの店をよく使ってくれたとか。
今は窯業も冴えず街も寂しいのが現状。
それに大将も77歳(その歳には見えないが)になり、店も50年近くやってきたから、そろそろ店を閉めようかとのこと。
店も新陳代謝していくものだからそれも仕方ないが、昭和の美味しい寿司屋が消えていくのが残念。
だがこれも時代の流れか。
そんな話をしなが寿司を味わっていたけど、〆の一品で出されたのは鉄火。
分厚く切られたマグロをネタにした、大き目な鉄火。
〆のごはんといった感じで、さっきまでの小さ目のシャリとは打って変わって、これでお腹を満たす段取りの鉄火だ。
鉄火に巻かれた海苔とシャリの相性もいい感じで、そのことを大将に伝えれば、海苔も良いものを使ってますからという。
長年握ってきた寿司職人が握る寿司は、どこにも手抜きが無い。
ネットに書いてあった通り、店は古いが寿司は旨いのだ。
これで寿司は終わりだが、ネタケースには奥殿の大好きな赤貝がある。
しかも大きな赤貝で、野球のボールぐらいありそう。
奥殿に聞けばぜひ食べたいとのことで、追加で頼んだのが赤貝の握り。
これが絶品!
貝から外したばかりということもあって、コリコリとした食感にヌメッとした食感も重なる。
貝の好きな奥殿も美味しいとのことで、ご同慶の至り。
これでお開きにした。
⇒ 立喰い 鳥安
美味しい寿司で飲めなかったのが残念だったけど、それを話したら今度は電車で飲みに来て下さいとのこと。
ただし店が無くなる前に来てね、で大笑い。
美味しかった、ごちそう様でした。
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